SS続き×7
どきゃどきゃ書くよ〜(´∀`*)
『で、手筈は整っているのか?』
朝、アザトが向かったのはユシウの執務室だった。
執務机の前に立ったアザトは苦いため息をもう何度吐いたか覚えていない。
『なぁユシウ、本当にやるつもりなのか?』
アザトの言葉に、ユシウはじろりと視線を動かした。
『当然だ。ハルトに危険な事はさせない。あれはこの国の神子だからな。その為にわざわざあのアキを呼ばせたんだ。今更止めるわけにいかない。』
『ハルトに黙ったままやるのか?』
『言ったら反対するのは目に見えている。だからハルトにもアキにも別の理由を考えてある。』
主の意思が揺らがない事を悟ると、アザトは肩を落とし額を手で覆った。
『どうして俺たちの代で守護龍の継承がくるんだ・・・。』
『守護龍はわが国の守護者だ。神子と同じく天から使わされた加護の御手だ。その代替わりに立ち会えるのだ、これ以上のことは無い。』
この国には砂漠もあれば山もあり、海もある。
そしてその自然全てを司る神の御手である守護龍は、豊かな恵みを施すこともできれば過酷な世界に一変させる事も出来た。
そしてこの世界に龍は多く棲み、その頂点に君臨する龍が『神の御手』と呼ばれる。
代替わりは不定期ではあるものの、一代が100年単位の長期間担う為地位の継承に立ち会える可能性はとても低いものになる。
そして今守護龍として300年近く生きていた龍がついにその地位を継承させる報せが届いた。
そしてその龍はこの国にある山に棲む龍で、隣国の海からその加護がこちらへと移譲される事になった。
神子である春人と神の御手がそろえば、この国は更なる繁栄が待っていた。
だがそれにはまず、せねばならぬ事があった。
『神の御手に我等の言葉を伝える役目は誰かがせねばならぬ。』
神の御手である龍に祈りを聞き届けてもらうため、この国の言葉を伝える必要があった。
『こちらの言葉を理解し話す事まで可能にするには贄が必要だ。それもそこらへんの神官など差し出すなど話にならん。順当に行けば神子であるハルトになるが、私はハルトを差し出すつもりなど毛頭無い。』
その骨肉をもって龍に言葉を伝える生贄。
その生贄にすべく、ユシウは春人に秋吉をこちらへ連れてくるように差し向けたのだ。
『神子と同じ姿形をしていればまたとない供物になるだろう。御手の前で暴れられても困るので、口枷と手足にも枷を嵌めて連れてゆけ。なに、痛みなど感じぬまま丸呑みしてくれるだろうさ。龍は慈悲深い生き物だからな。』